毎日毎日ごはんを食べる。

晴れても曇っても、うれしい日もかなしい日もごはんを食べる。

食べたごはんが身体をつくり、また人生は展開されてゆく。

当たり前のことですが、毎日毎日食べるゆえ、おろそかにもなってしまいます。

わたし自身、20代の頃は食べることが生きるの中心であると知りつつも、やはりきちんとごはんをつくって食べてはいませんでした。

東峰村に単身移住したのが2016年のこと。

村の自然と美味しい空気や水に身体も心も本当に癒され、生きることがとても楽になりました。むずかしいことを頭の中で延々とぐるぐると考えていることもなくなり、目の前に起こることをゆったりと味わい愉しみながら生きられるようになりました。

それは間違いなく食のおかげだと思っています。

街の暮らしに比べると村の時間の流れはゆったりとしています。

雲の流れや、風の変化を感じ天気をふと予測できるようになったり、、五感が開いているのでしょう。それはとても気持ちのよいことです。

大地のエネルギーが詰まった野菜や水は、人間と地球をつなぎとめてくれるような気がします。それがストレスが少なくなる理由だと思っています。無意識のレベルで地球と同化していることを感じられていることがリラックスして日々を過ごすヒントだと感じています。

近年は気候の大変動により、4年前とくらべても季節の変化が極端な気がしていますが、それでも季節の移ろいとは淡く少しずつ様々な変化を経てゆきます。

同じ野菜でも、芽を食べたり、花を食べたり、実を食べたり、種を食べたり、茎を食べたり、いろいろな小さな楽しみがたくさんあります。

実は市場やスーパーには見られない野菜の別の顔というのがたくさんあるのです。

そんな野菜や米、愛情をかけられて大切に育てられた動物たちを、丁寧に真摯につくられた調味料や薪の生の火を使って調理しています。

薬や肥料を使って、無理に早く大きく育った野菜とはまったく違う、大地そのものの野菜たちは口に含み味わうだけで、いつもと違う部分が開きます。その感覚をたのしんでもらいたい。

それはいつかの記憶とつながったり、DNAの太古の記憶とつながったり、、。

動物としての本能が歓ぶ、そんなお料理を提供できればと願っています。